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【怪談】宇宙の人

【怪談】宇宙の人 怪談・奇談
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宇宙の人

しげしげとソレを眺めてみたが、消えて無くなるわけでも夢から覚めるわけでもなくて─────。間違いなくそこにソレは居るとしか言いようがなかった。

夜も更けた午後11時ごろ、ベッドでゆったりと寛いでいた私は何の前触れもなく宇宙人(エイリアン)と遭遇した。彼あるいは彼女は、我々地球の人類と遜色ない姿をしていて私をとても驚かせた。エイリアンと言えば誰もが思い浮かべるであろう2大アイコン───瞼(まぶた)のない黒目を見開いた仄白い小人でも、長い触手をくねらせて器用に扱う蛸(たこ)とも全く違うその容貌にガッカリしていないと言えば嘘になるだろう。もっと、こう───UFOに乗って来るとかサービスしてくれてもバチは当たらないだろうに───。

私たちはたっぷりと時間をかけて見つめあっていた。彼もしくは彼女は、私にどうしても伝えたい言葉があるらしく一生懸命パクパクと口を開けたり閉じたりしていた。テレパシーで脳内に直接干渉したりはしないんだなと、ますますがっかりしてしまったのは単に私が漫画を読みすぎているせいなのだろうか。

彼もとい彼女と、意思疏通をはかる方法は他にもないだろうかと無い知恵をしぼった結果…筆談をするという選択に自然と行き着いた。紙とボールペンを取りに行く寸暇を惜しみ、私は手元のスマートフォンのメモ機能を使うことにした。

地球へwelcome!!はじめまして~o(*⌒―⌒*)o 私の名前は〇〇です( `・∀・´)ノ ヨロシクー あなたのお名前は何と言いますか? どんな星から来ましたか? お友達になって仲良くしましょう \(^_^)(^_^)/

見やすいように眼前に画面を近づけてあげる。果たしてどんな反応をしてくれるのだろうかと期待で胸を膨らませてワクワクしながら待つ。するとエイリアンは困惑したような表情をしながらスマートフォンと私の顔を交互に見たあと、すうーっと身体を透けさせていった。そんな…!? 何かが気に障ったのだろうか。私は慌ててエイリアンの手を掴もうと飛びついた。すると驚愕した表情を浮かべた地球外生命体は、何事かを叫びながら弾けるように消え去ってしまった。突然の拒絶にパニックに陥った私は、隣室の姉のもとに唸りながら駆け込んだ。

姉はいつものように優しく落ち着くように諭してくれた。〇〇ちゃんのせいじゃないと何度もなだめてくれて、涙でグチャグチャになった顔を丁寧に拭(ぬぐ)ってくれた。姉が言うにソレはエイリアンではないということだった。最近のエイリアンは真っ黒いゴミ袋をかぶり頭がとても大きい昆虫のような姿をしていて、大きなクチから小さなクチが飛び出してくるのが特徴なんだと教えてくれた。やっぱり姉は物知りだ。

黒いゴキブリは実は宇宙人エイリアンの擬態した姿なんだとトンデモ論を手話で伝える「姉」と、素直にそれを信じこむ「妹」の心温まる交流をそばで眺めながら「私」は考える───。突然現れたり消えたりする、男女の区別がつかないほど容貌が崩れている…?聴覚障がい者の「妹」に長時間話しかけ続ける?? 宇宙の人じゃなくてあの世の人なんじゃないのか??───浮かんだ想像をどこかに追いやって、明日のレクリエーション・タイムには映画「エイリアン」シリーズの上映を提案しようと思った。「私」のおすすめは4だが、ここは老若男女に受けた2が良いだろうと思う。そしてその後「E.T.」を観せたら、彼女達はどのような感想を抱くだろうか。「私」はこっそり微笑んだ。

宇宙人と言えば、X-fileシリーズの初期が好きでした。B’zの主題歌も大黒摩季の主題歌も大好きだったなぁ~。何年前だとか知らないほうが幸せよ~🤗

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